最終的な決着は裁判の判決
裁判の前には調停の手続きが必要です
離婚問題の解決手段としては、まず夫婦間で話し合いを行うのが一般的です。しかし、離婚条件について合意が得られなければ、調停による解決を期待します。それでも解決しない場合に裁判を起こすことができるのです。
なお、裁判離婚は、お金や時間の負担が大きいため全体の1~2%を占めるに過ぎません。また、弁護士への相談も必要でしょう。
裁判のためには法律で定められた「離婚原因」が必要になります
裁判を起こすためには、協議離婚や調停離婚とは異なり、民法で規定するところの「法定離婚原因」がなければいけません。また、不貞行為などを行った有責配偶者から離婚についての請求を起こすことはできないのです。
裁判離婚の内容
最終的には裁判の判決で決着をつけます
離婚について夫婦間で話し合い、さらに調停の申し立てを行ったにも関わらず調停が不成立に終わった場合には、最終的な解決方法として裁判で解決するしかありません。
裁判離婚の手続きは、家庭裁判所に離婚を求める旨とその原因を記載した「訴状」という書面を提出するのです。初回の期日は、訴状の提出後1カ月くらい先になります。その後の期日も、おおよそ1カ月に1回くらいのペースで進められます。
協議離婚や調停離婚については、夫婦の一方が離婚を望まない限り離婚は成立しません。
ところが、裁判を起こした場合、法定の「離婚原因」の存在が認められると、夫婦の一方が離婚を望まなくても判決により離婚が成立するのです。したがって、裁判離婚は、離婚についての最終的な解決方法といえるのです。
また、裁判については、いろいろな面で法的な知識が必要になります。たとえば、訴状には、調停のような雛型もないので、作成のために法的な知識が必要になります。さらに、夫婦双方が離婚についての主張や立証を繰り返し行わなければならないという精神的負担の大きい作業です。
つまり、離婚についての最大の要素である離婚原因の有無をめぐって、法的なやり取りをくり返すのです。やはり、法律の専門家である弁護士のサポートを受けることをお勧めします。
なお、裁判を起こすと必ず判決により判断が下されるとは限りません。裁判になった場合でも、裁判官が和解を勧めてくることがあります。必ずしも和解に応じる必要はないのですが、応じる場合には「和解調書」を作成して離婚することになるのです。
この場合も最終的な決定であることに変わりはないので、しっかり弁護士に相談してください。
裁判離婚の具体的な手続きと流れ
裁判を起こすためには、まず調停を行わなければなりません
離婚問題について裁判を起こすためには、その前に調停を行い、調停を行ったにもかかわらず、合意が得られないことが要件になるのです。これを「調停前置主義」といいます。
つまり、「裁判」の前に「調停」を「置く」のです。したがって、まずは離婚調停を行い、その結果、調停が不成立になっていることが離婚についての裁判を起こすためには必要なのです。
家庭裁判所に対して離婚訴訟の申し立てを行います
裁判離婚を行うためには、夫または妻の所在地を管轄する家庭裁判所に対して、離婚を求める旨とその原因を記載した「訴状」という書面や調停が不成立で終わったことを証明する書類などを提出し訴えを提起するのです。
この際、家庭裁判所から判断のために必要な書類を求められたり、事情を尋ねられたりすることもあります。家庭裁判所からの書類の提出や出頭の求めには応じなければなりません。
第1回口頭弁論期日の通知が指定されます
家庭裁判所は、訴状を受理すると、第1回口頭弁論期日を指定し、被告となる相手方にも期日の呼出状と訴状の副本を郵送します。
相手方が訴状の内容について反論する答弁書を提出せずに呼び出しの期日に欠席すると、訴えを認めたとみなされるため、欠席裁判として負けてしまうこともあるのです。
裁判の審理が始まります
訴状の提出から約1カ月後に第1回目の口頭弁論が行われます。つまり、言い分を主張したり証拠を提出したりするのです。その後の進行は1カ月に1回くらいのペースになります。
審理の流れ
争点を整理します
争いの内容を整理し確認するのです。
原告から証拠の提出を行います
争いの内容の整理・確認が終われば、争いの原因を証明する証拠の提出が行われます。
争点の整理や証拠の提出について裁判官が納得するまでくり返します
不貞行為等の離婚原因について、裁判官が原告と被告の提出した証拠にもとづいて、争点である原告の主張する「離婚原因」の有無を確認します。つまり、裁判官が被告に「離婚原因」が存在したかどうかの判断ができた時点で終了するのです。
家庭裁判所から和解案が提示されます
必要に応じて家庭裁判所から和解案が提示されます。和解が勧告されても勧告に応じる必要はありませんが、勧告に応じる場合には和解調書が作成され離婚が成立するため、判決を待たずに裁判は終了します。
和解調書の内容は重要な意味を持つため勧告を受けるか否かは十分に考慮する必要があります。
判決が下されます
判決は尋問終了後1~3カ月後に下されます。離婚の不可・慰謝料・親権等について判断されるのです。
相手方は判決の内容に対して控訴することができますが、控訴しなければ、2週間の控訴期間が終了した時点で判決が確定します。もちろん裁判の判決は拘束力を持つので、判決により確定した離婚を取り消すことはできません。
なお、離婚届については、原告が離婚成立から10日以内に原告の署名押印した離婚届に判決の謄本・判決確定証明書・本籍地でない役所に提出する場合は戸籍謄本も添付して市町村役場に提出することになります。
離婚裁判は専門の弁護士のサポートが重要
離婚問題を裁判で解決するためには、専門的な法律の知識が必要になります。訴状ひとつをとっても法的な知識がないと作成することは困難でしょう。
さらに、書面の提出や証拠の申出などの手続きは、すべて民事訴訟法にもとづいて行う必要があるのです。また、離婚原因については事実の有無を主張するだけではなく立証しなければならないのです。
つまり、訴えを提起した側が証明する必要があるのです。離婚の可否を含めた離婚条件を少しでも有利に進めるためには、可能な限り早い時期から弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に依頼することにより、依頼者は和解や尋問のときを除いて家庭裁判所に出頭する必要もなくなるのです。