養育費の内容とは
離婚の際に養育費の内容はどのように定められるのでしょうか?
一般的に、離婚の際には母親が親権を得ることが多いのですが、親権を得るということは母親が単身で子どもを養っていくということになります。しかし、本来、子どもは夫婦で力を合わせて養っていく責任があります。
つまり、親権を得なかったから子どもの面倒は見ないというわけにはいかないのです。そこで、親としての責任をお金に換えたものが「養育費」です。したがって、親権を得られなかった方の親が、子どもを育てるために必要な費用を負担しなければならないのです。
養育費に含まれる費用
一般的には、次に挙げるようなものが「養育費」に含まれます。
- 子どもの衣食住のための費用
- 子どもの健康のための医療費用
- 原則として成人するまでの教育費用
- その他必要な費用
養育費とされる費用を記載しましたが、その額は、それぞれの生活環境の違いにより異なります。一般的に、養育費を支払う側と同程度の生活が維持できる程度の支払いが必要になるでしょう。なぜなら、子どもには両親の離婚の有無に関わらず、本来と同様の生活水準が与えられるべきだからです。
養育費の具体的な金額
養育費の相場はいくらくらいになるのでしょうか?
養育費を算定するには、「現在子どもを養育するためにどの程度の費用が必要なのか」また「今後成人するまでにどの程度の費用が必要になるのか」について、夫婦双方の収入や財産により算定するのです。
つまり、子どもの生活水準を落とさないように算定されることになります。したがって、母親の収入が少ないような場合には、父親が養育費として大半を負担しなければなりません。
具体的な養育費の額としては、たとえば、家庭裁判所の基準である「養育費算定表」によると、夫・年収500万円、妻・年収100万円で小学生の子どもが1人の場合、養育費は月に4~6万円が夫から妻に支払われるのです。
養育費の支払い期間について
養育費はいつまでもらえるのでしょうか?
原則として20歳まで支払われます
原則として、養育費は、成人するまでの期間について支払われることになります。具体的には、20歳になるまで支払われるのですが、20歳になる前であっても子どもが就職により経済的に自立できるのであれば、養育費を支払う必要はないでしょう。
なお、20歳を過ぎていても大学生の場合であれば、その教育を受けることが妥当か否かを両親の学歴等を参考にして判断し、自立しているとはいえないと判断されると引き続き養育費を支払わなければならないケースもあります。
養育費の支払い条件などの変更をすることができるのでしょうか?
養育費について確定した条件を変更することはできるのでしょうか?条件が確定しても、たとえば養育費を支払う側が失業したり、子どもが病気になったりと、子どもが成人するまでには、さまざまな環境の変化があるでしょう。そのような場合は、まず夫婦間での話し合いで解決を目指します。
しかし、話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所での調停や裁判が必要になります。なお、想定できる条件変更についての詳細をあらかじめ離婚協議書に定めておくこともできます。
養育費の支払いがない場合
養育費を確実に支払ってもらうための方法
養育費について話し合いのうえ合意し、書面に残したからといって、相手の養育費の不払いに対して、すぐに差押さえにより強制的に相手の財産から回収することができるわけではありません。
強制的に支払わせるためためには、調停や裁判により回収する必要があるのです。ところが、書面を公正証書や調停調書で作成すると、裁判といった時間のかかる作業を経ることなく相手方の財産から強制的に養育費を回収することができるのです。
公正証書
養育費の合意について公正証書で作成しておくと、その効果は裁判における判決と変わらないのです。したがって、相手が公正証書に記載された内容を違えた場合には、裁判を経ることなく相手から不払いの養育費を回収できるのです。なお、公正証書は公証役場で作成することができます。
調停証書
調停証書とは、調停を利用して養育費の支払いの合意を得た場合に作成されます。つまり、家庭裁判所のお墨付きのような書面なので、相手に養育費の不払いがあれば、まず、家庭裁判所のから相手に対して養育費支払いの督促をしてくれるのです。さらに、督促に応じない場合には公正証書と同じく、裁判を経ることなく相手から不払いの養育費を回収できるのです。
強制執行の対象になるもの
- 給与(会社員)や売り上げ(自営業や個人事業主)
- 預貯金、株券など
- 自動車、家電、家財道具
- 貴金属や骨董品
- 所有する土地や建物
- 国債などの金融商品
養育費とは作成方法により確実に支払ってもらうことができます
「養育費の支払いがない」あるいは「支払われる養育費の額が定めた額より少ない」という話をよく聞きます。仕方ないと諦めている方が多いようです。また、生活環境が変わったにも関わらず養育費を同じように支払っている方もおられます。
離婚の際には、さまざまな法律知識が必要になります。専門知識に頼ることが離婚トラブルについて最も有効な方法なのです。なお、養育費も含め交渉ごとで最も大切なのは、交渉の結果を明確に残すことです。
つまり、公正証書のような証明効果の高い書面に残すことにより、養育費の不払いなどに対して、すぐに強制執行により回収することができるのです。当事務所では、離婚トラブルについてのエキスパートが交渉から書面作成まで、親身になってサポートします。
離婚についてトラブルを抱えておられる方は、ぜひ、ご相談にお越しください。