ギャンブルが離婚原因になりますか?
ギャンブルは直接の離婚原因ではありません
ギャンブルで生活の破綻をきたす方も少なくありません。ギャンブルによる借金とは、知らず知らずのうちに膨らんでいくものです。
借金により身動きが取れなくなくなれば、家族生活にも影を落とします。ところが、ギャンブルによる借金は協議離婚の原因として上位を占めていますが、法律で定めた離婚原因にはなっていないのです。
ギャンブルや借金が離婚原因になる場合
婚姻を続けるのが難しいほどの状況か否かによります
夫婦とは、お互いに協力して生活を営まなければなりません。ところが、たとえば夫が仕事もせずにギャンブル三昧で生活費も入れないようでは、夫婦関係を続けていくことは難しくなります。
つまり、夫婦関係を継続できない状況であれば、離婚原因として認められるのです。その場合、預金通帳やクレジットカードの明細をコピーして、お金の出入りを証拠として記録しておく必要があります。
妻が浪費をしたときの考え方も同じです
最近増えてきているケースとして、妻が買い物のため、クレジットカードの借入れを際限なく続けるという浪費癖が問題になっています。カードで作った借金を返済するために、新たにカードの借入れをくり返し借金を増やしてしまうのです。
このような状況が改まらなければ、やはり、夫婦関係を継続することは難しくなります。したがって、ギャンブルの場合と同じように夫婦関係の修復が不可能であると判断されると離婚原因として認められることになります。
借金の返済義務は夫婦で負うのですか?
借金が原因で離婚に至るケースは多々あります。しかし、たとえば、夫の借金が多額で生活が苦しいために離婚に踏み切ったにもかかわらず、離婚後も夫の借金を妻も返済しなければならないのであれば別れた意味がありません。
実際には、離婚の際に夫の借金を妻も返済する必要があるか否かは、借金の種類や条件により変わってくるのです。
では、その借金の種類や条件を記載します。
離婚することで返済義務のなくなる借金
夫婦の一方が個人的に出費したための借金については、他方は返済する必要がありません。たとえば、夫がギャンブルや個人的な趣味のために借り入れた借金について、妻が返済する必要はありません。
また、妻が、自分のために購入した貴金属やエステ費用などのために借り入れた借金について、夫が返済する必要はありません。どちらも、夫婦関係を円滑に営むために必要なものではないからです。
離婚しても返済義務のなくならない借金
家庭生活に必要な費用として借り入れた借金
夫婦生活を送るうえで、必要な生活に関する費用のために借り入れた借金については、離婚後も夫婦で返済する必要があります。たとえば、食費や水道光熱費、被服費や家電製品費など一般的な生活に必要な費用のために借り入れた借金は、夫婦関係を円滑に営むために必要なものだからです。
子どもの養育費や教育費のために借り入れた借金
夫婦には協力して、子どもを養育する責任があります。この責任は離婚しても変わりません。つまり、子どもを養育したり教育するために借り入れた借金は、離婚後も夫婦が二人で返済しなければならないのです。夫婦の一方のみが返済を行うのでは、他方の責任が果たせないということになります。なお、養育費や教育費とは、食費・被服費・医療費・学費などをいいます。
その他の夫婦が二人で返済しなければならない借金
夫婦が二人で返済しなければならない借金は、食費や水道光熱費、被服費や家電製品費の他にも家族で使った医療費や娯楽費に関する借金も対象になります。民法では、このような一般的な生活に必要な費用を「日常家事債務」といい、結婚して生活を営むことを意味する「婚姻共同生活」に必要な費用は、夫婦が連帯して責任を負わなければならないとしています。なお、日常家事債務には、医療費や娯楽費、自動車費や交際費などがあります。
離婚した相手に借金がある場合でも相手に慰謝料や養育費が請求できますか?
離婚した相手に離婚原因がある場合、相手に借金がある場合でも慰謝料や養育費を請求することができるのでしょうか?
借金を抱えていても慰謝料や養育費を免れることにはなりません。つまり、相手に借金があっても慰謝料や養育費を請求することはできるのです。なぜなら、慰謝料は損害賠償義務にもとづくもので、養育費は子どもに対する扶養義務にもとづくものであり、借金とは性質が異なるからです。
当事務所では、さまざまなケースに対応してきていますので、ご依頼を受けた方にとって最善の対策を講じます。また、一日でも早くお話をお伺いすることで、より有利に交渉を進めることができるのです。