少しでも多くの慰謝料を請求するノウハウ
慰謝料を増額するために必要な事情
離婚の際の慰謝料には、一応の相場というものがあるのですが、厳密に定められているものではありません。したがって、調停や裁判を利用しなければ、夫婦間の合意により自由に定めることができます。
たとえば、有名人が離婚するケースなどではよくありますが、相手方が財産のある社会的地位の高い方であれば、何億円という慰謝料の請求ですら不可能ではありません。
つまり、夫婦それぞれの事情や請求の仕方により慰謝料の額は増えることもあれば、反対に減ることもあるのです。
高額の慰謝料を請求できるケースとは?
婚姻期間の長さ
婚姻期間と離婚に至ったときの精神的苦痛は正比例するはずです。婚姻期間が長ければ長いほど、別れた時の苦しみも大きくなるので慰謝料の額も増えます。
相手の年収の額
離婚原因になる行為をした方の年収が多ければ、かりに婚姻が継続していれば、相手方も多くの収入を得られたはずです。したがって、慰謝料も多くなるのです。
年齢の高さ
年齢が高いほど、やり直しの機会も少なくなるため、慰謝料も多くなります。
職業のステータス
一般的に、社会的地位の高い仕事は収入も多いでしょう。地位の高さに応じて慰謝料も多くなります。
養育の必要な子どもの人数
養育の必要な子どもの人数が多いほど、慰謝料も多くなります。
不倫等の不貞行為が原因で離婚に至った場合の慰謝料が多くなる事情
このような場合が慰謝料の多くなる事情になります。
- 不貞行為のために別居に至った場合
- 不貞行為の期間が長期にわたる場合
- 不貞行為の相手が女性であり、妊娠や出産をいている場合
- 不貞行為の相手と同棲をしている場合
- 不貞行為を知ったことによりうつ病などが発症した場合
暴力や暴言が原因で離婚に至った場合の慰謝料が多くなる事情
このような場合が慰謝料の多くなる事情になります。
- 暴力や暴言を受けた期間が長期にわたる場合
- 暴力や暴言を受けた回数が多い場合
- 暴力や暴言を受けたためにうつ病などになった場合
- 暴力を受けたことによるケガや障害の程度が重い場合
- 理由もなく暴力や暴言を受けた場合
セックスレスが原因で離婚に至った場合の慰謝料が多くなる事情
このような場合が慰謝料の多くなる事情になります。
- 婚姻後ずっとセックスレスの場合
- セックスレスの期間が長期にわたる場合
- 不貞行為を行っている相手がいるために配偶者とセックスレスであった場合
悪意の遺棄(ほっておくこと)が原因で離婚に至った場合の慰謝料が多くなる事情
このような場合が慰謝料の多くなる事情になります。
- 理由もなく別居を行った場合
- 別居の期間が長期にわたる場合
- 妻が収入のない専業主婦にもかかわらず生活費をわたさない場合
- 夫が健康なのに働かなかったり借金をしたりしている場合
裁判で重要なのは慰謝料請求のための証拠
夫婦間の話し合いによる協議離婚とは異なり、調停や訴訟において慰謝料の請求を行うには、慰謝料請求の根拠となる証拠が必要です。
慰謝料請求を認めさせるために証拠を提出することにより離婚原因を立証しなければならないのです。具体的には、不貞行為の場合であれば、不貞行為を証明することのできる写真などであり、暴力行為の場合であれば、負傷したことを証明することのできる診断書や負傷部分の写真などを提出して離婚原因を立証しなければならないのです。
単なる主張だけでは証拠にはならず離婚原因の立証にはなりません。
慰謝料増額のためのその他の条件
周囲の方から陳述書を得る
当事者の意見だけではなく、第三者の客観的な意見として、周囲の方から陳述書を得ておくのも大切なことです。
近所の方の陳述書
夫婦にとって、夫婦の関係とは主観的なものなので、トラブルの際も、ついつい自分有利に判断してしまいがちです。しかし、近所の方は、夫婦関係を客観的に捉えているはずです。たとえば、親権などについて争うような場合には、子どもの利用している幼稚園や保育園で働かれている方の証言も大きなポイントになるはずです。
身内からの陳述書
夫婦間の状態を理解しているのは、最も身近な存在である親族になるのかもしれません。身近なだけに相談しにくいかもしれませんが、証言としては、効果的な証言を行ってくれる可能性が高いのです。
調停や裁判の話を持ちだしプレッシャーをかける
話し合いが煮詰まってくると、調停や裁判の話を持ちだすのも効果的です。相手方にしても事を公にするのは避けたいはずです。できれば話し合いで解決したいという相手方の心理に乗じて有利な条件を引き出すのです。
精神的苦痛を受けたことを相手方に示す
自身が受けた精神的苦痛を相手方に示すのです。つまり、内容証明郵便などを使って相手方に提示するのもひとつの方法です。内容証明郵便であれば、郵便局が送ったという事実の証明をしてくれます。また、相手方に与えるプレッシャーも大きくなるはずです。
不倫相手に対する慰謝料の請求・ココに注意!
離婚の際に相手方の不貞行為が原因で離婚に至ったケースでは、慰謝料の請求は、配偶者に対して行うこともできれば、不倫相手に対しても行うこともできます。さらに両方に対して請求することもできます。
ただし、両方から慰謝料を二重に受け取ることはできません。たとえば、200万円の慰謝料が認められた場合に浮気相手から200万円の慰謝料を受け取っていたなら、配偶者に対して、それ以上の請求はできないのです。
つまり、浮気相手が支払えない場合に配偶者に慰謝料の請求ができるのです。ただし、ケースとしては少ないのですが、不倫相手が婚姻の事実を知らなかったような場合には、不倫相手に請求できないこともあります。
専門家のサポートを受けることで慰謝料の額は変わります!
離婚の際の慰謝料は、相場として50万円から300万円といわれています。しかし、その額の算出には、さまざまな要件のひとつひとつを提示しながらポイントを重ねていく必要があるのです。
慣れていないと、たいへんな作業になるでしょう。やはり、専門家である弁護士のサポートを受けるのが最も効果的な手段といえます。たとえば、相手方に責任があったとしても、程度により慰謝料の増減があるので、いかに責任が重いかを認めさせなければならないのです。
その作業を証拠集めの段階から体系付けて行えるのが弁護士なのです。ひとりで思い悩んでいても、たぶん解決することはないでしょう。慰謝料など法律に関することは専門家に任せるというスタンスがとても重要なのです。