夫婦で会社を経営している場合の財産分与
事件はこうして起こった
A男さんとB子さんの夫婦は、結婚して15年になります。二人とも再婚なので、B子さんの方は40代後半です。
結婚する直前に、A男さんは飲食の会社を立ち上げ、結婚後、B子さんもこれに参加し、A男さんが代表取締役、B子さんが取締役として働いていました。
しかし、派手好きで買い物好きなA男さんと心配性で生真面目なB子さんはうまくいかず、A男さんは、B子さんに離婚を求め、会社からも手を引いてほしいともとめました。
こうしてB子さんは、当事務所に相談に見えました。
解決のポイント
弁護士は、A男さんが離婚を求めていると言っても、法定の離婚事由に該当するものはなく、裁判になれば勝てる見込みがあることに注目し、さっそくA男さんと交渉しました。
その結果、離婚後も相当期間、B子さんに会社から相当の金額を払い続けることで合意が成立し、円満に離婚に至りました。
担当弁護士コメント
B子さんは、この会社以外に特段働くあてもなく、たいそう困っていらっしゃいました。また小さな会社にありがちなことですが、夫婦の家計と会社の会計はごちゃごちゃです。
財産分与をするとしても、A男さんの個人の資産は何もありません。しかしB子さんからすれば、会社の資産は結局、自分が貢献して築いてきたものであり、これを代表取締役であり株主であるA男さんが独り占めするのは不平等だと感じていました。
「会社の財産」を夫婦の離婚時の財産分与に盛り込むことはとても難しい。しかし、夫婦で築いてきた会社の財産を完全に失うのは納得できない。というB子さんのご要望にも沿った離婚が、わずか2カ月という早期に成立したのは、弁護士がA男さんと、頻繁にそして熱心に交渉を重ねた結果です。
A男さんもB子さんも、感情的にこじれずに早期に離婚することができ、良い終わりを迎えることができました。
※プライバシー保護の観点から事案の本質(争点、判決やどのような解決したか)に反しない範囲で事実関係を一部変更している場合があります。